!ネタバレ注意です!エンド7到達後の閲覧を推奨します
[シナリオ]
★夏至祭の魔法――フィンランド
ゲームに登場する『白夜の魔法』の着想元は、フィンランドに昔から伝わっているという占いです。現地の友人から教えてもらったもので、「夏至祭の夜に8種類の花を集め、枕の下に入れて眠ると、夢の中に将来の伴侶が現れる」という内容でした。この伝承を「夏至祭の夜に花を集める」⇒「夢の中で何かが起こる」というところまでブレイクダウンして、そこから想像を膨らませて物語を考えました。
フィンランドをはじめとした北欧では夏至祭を盛大に祝う伝統があり(映画『ミッドサマー』でおなじみのアレです)、沈まない太陽に照らされた自然の美しさ、焚火、花、夢、宗教、妖精、異界の入口……をテーマにゲームを作ってみたい、北欧の森に潜む「非日常」を表現したい、という動機で作ったゲームです。「白夜の伝承とゲームシステムを絡めたマルチバッドエンド探索ADV」、がコンセプトです。ぼんやりとした構想自体はけっこう前からあって、当初のタイトルは『ナナカのポルカ』でした。純粋に語呂がいいだけで考えたフレーズだったので、ポルカ要素どこだよ!とキレながらボツにしました。ナナポルにしていたらニノが踊っていたかもしれない。『白夜と魔法のナナカ』は内容そのままのド直球タイトルですが、わかりやすいので気に入ってます。
★橋姫と空の神殿
北欧神話のヴァルハラへ行く虹の橋とか、日本の民間伝承にある『橋姫』の概念とか、世界のいろいろな地方に残っている橋の人柱の昔話とか、いろいろなものを分解して混ぜ合わせてファンタジーっぽく色付けした何かです。ギリシャ神話や日本神話等で見られる「振り向くなのタブー」も入れました。空の神殿、概念的には冥府なんだけど、明るい空にあってキラキラしていてほしいと思っています。夜闇はもちろん怖いけど、闇のない夜だって本当はもっと怖いかもしれない。
ちなみに、第6の橋姫『ソフィア』は名前のある登場人物の中でいちばん最後にできたキャラです。口調がちょっとお気に入り。
[システム]
★マルチ(バッド)エンド
今回やりたかったのはコレ。前にもちょっと書いた気がするんですが、私は『学校であった怖い話』というゲームが好きで好きで…!! 幼少期から繰り返しプレイしている私的殿堂入りゲームの一つなんですが、そのゲーム最大の魅力が豊富なマルチバッドエンドなんですね。一つの話の中に何種類もバッドエンドがあって、エンドを迎えるごとにキャラクターの内面や世界設定、物語に対する解像度が上がっていくというシステムが本当に大好きで……。私は基本的にはハッピーエンド至上主義みたいなところがあるんですが、「ハッピーエンドが存在するマルチエンドのゲーム」となると話は別で、その場合は物凄く悲惨なバッドエンドも愛せるというか。ハッピーエンドが存在する場合、それを自分の中で正史認定することが可能でなので、あまり心を痛めずに味わえる気がするんですよ。「ハッピーエンドだ! よかった! それじゃあ(起らなかった)(仮の)未来も一応覗いてみるか!!(´▽`)」という心積もりでプレイすれば何も怖いものなどない。あと、バッドエンドの魅力はメインキャラの負の側面が見られるところだと思っています。バッドエンドとハッピーエンドを両方見ることで、作品世界により深く潜ることができる、そういう部分が好きです。マルチエンドの考察、大好き。三度の飯より好き。
オブジェクト会話
マップ上のオブジェクトを調べるとニノがしゃべるアレです。むしろほぼニノしかしゃべらないアレです。逆〇裁判の影響で本当は外したくないんですが、ポーヨラ賢者奇譚はパーティ人数もマップ数も多いので、実装はさすがに厳しいだろうか。
[キャラ]
★ナナカ★
名前の由来は、ハッピーエンド見た方ならお気づきのことと思いますが、「七つの花」⇒「七花」⇒「ナナカ」です。なんてそのまんまなんだ。
ヒュムネと同じ無個性主人公ですが、あっちとは狙いが違います。ヒュムネの時は「プレイヤーさん」=「主人公」のつもりで名前も性別も性格も設定しなかったので、必然的にしゃべらない(しゃべれない)状態でした。一方、ナナカを無個性にした目的は、身も蓋もありませんが「プレイヤーさんが主人公に反感を抱きにくくするため」です。なぜそこを気にしたのかというと、マルチバッドエンドだからです。主人公がヘイトを稼ぎすぎてるとバッドエンドの意味合いが変わってくるじゃないですか……やったぜ!ざまあ!みたいになるじゃないですか。1時間のゲームでそこまで嫌われねーよって言われそうですが、なるべく好印象のまま橋まで持っていきたかったので。下心満載でした。
★ニノ★
名前の由来は2番さんです。大富豪が強そうでよかったね。
ラブ3号でもありシャルロトカ2号でもある魔法使い少年。ちなみに制作中盤くらいまではファイアボール使いだったのですが、もう本当ラブ3号かよって感じだったので、魔法の属性で差別化を試みました! ツクールフェスの素材にイメージぴったりのグラフィックの子がいたので、喜び勇んで使わせていただきました。表ニノも裏ニノもどっちも好き。設定などは本人が語った通りで、現実とニノの認識に大きな差異はありません。「押し花を一緒につくった大人」はニノのお母さんです。お母さんは妖精族で、今は西の森で暮らしているはずです。
★ノエル/リエル★
ノエルが青いほうでリエルがバッドエンドでナナカのお墓をつくってくれるほうです。名前の由来はLOTRの影響(?)で、語尾を「エル」で終わらせたかったというだけです。うっかり数字を含まないように気をつけました。たとえば名前が「シエル」だったりしたら、とんでもないミスリードになりかねないyo。
★ソフィア★
最後にできたキャラ。思わせぶりなだけのニノと違って本当に神殿の手先です。ハッピーエンドでもソフィアは救済されていません。
[小ネタ]
・釣り竿がある家の食器棚を「ニノが仲間になる前」に調べるとナナカがカップを割ります。その後ニノを仲間にして調べなおすと、ニノが魔法でカップを修復します。ニノが仲間になる前に調べていなければ、何も起こりません。
・リヨンの家にある花の絵を調べたときのセリフはモノドリのセルフパロです(「花だけど絵だから使えない」的なやつ)
・日陰草はじつは複数個所にあります。うち1つを見つけるとほかの場所のは自動的に消える仕組みです。
・妖精姉妹の小屋を訪ねていない状態でエンド6を迎えると、リエルの名前欄が「????」になります。
以上、舞台裏でした。みなさま素敵な夏至祭をお迎えください。Hyvää juhannusta!