ラインアマド語講座 基礎編

『モノクローム・ドリーマー』で、登場人物たちが使用している言語である「ラインアマド語」の文法規則を解説するコーナーです。
単語の意味を知りたい場合は『現代ラインアマド語小辞典』をご参照ください。

アルファベットと発音

アルファベット
AからZまでの26個が存在します。英語と一緒です。ウムラウト不使用。

母音

a(ア)/i(イ)/u(ウー)/e(エ/ウ)/o(オ)/y(ユ)の6種類。
eは、単語の頭に来るときと、zの後ろに来るときのみ「エ」とはっきり発音し、
その他の場合は「ウ」に近い弱体化した音になります。

また、母音は2つまで続けて使用することができます。
その場合は、日本語の伸ばす音(『ー』)と同じ働きをします。
例)woodoa(ウォードア:山)、maa(マー:存在する)

なお、母音を3つ以上続けるのは文法規則違反となります(人名や地名など、一部の例外を除く)。

子音

基本はローマ字の読み方に似ています。
例外:j(ヤ行の音)、x、z。
x,zはxi(クシ)、ze(ツェ)、zi(ツィ)などの形でよく使われます。
xとzの音が目立って聞こえるのが、ラインアマド語の発音の特徴です。

rの音は下を巻いて発音し、伸ばしません。
例)ciciart=シシアルト

tの前は、音が跳ねたような発音をすることがあります。
例)zit=ツィット

しかし、↑のciciartのように、跳ねないときもあります。

下記①~③のいずれかに当てはまる場合は、跳ねません(一部例外あり)。
①tが先頭である場合
②tの前にrが来る場合
③tの後ろに母音が来る場合

例)
tastaxia=タスタクシア
tatalina=タタリナ
Ecerti=エスルティ

アクセント

単語のアクセントは、つねに先頭の母音に置かれます。

さいしょに覚える基本ルール

大文字

以下のいずれかに当てはまる場合、大文字にします。

①Xi、Zetaの先頭のX、Z(一人称主格のみ大文字にすることに注意)。
②人名、地名の先頭の文字。
例)Cada(カダ:村の名前)、Tanica(タニカ:人名)
③文頭の文字。

基本の語順

主語+(疑問の語)+(否定の語)+(受動態をつくる語)+動詞+(助動詞)+冠詞のようなもの(me/met)+(数詞)+(目的語)+(形容詞)。

形容詞は後置し、後ろから名詞を修飾します。助動詞も後置(一部の特殊な助動詞を除く)です。
副詞は意味が通じる範囲であれば、どこに置いても構いません。

代名詞

活用表

代名詞活用表

動詞と時制

maaの使い方
動詞maaは全動詞の中で最も頻繁に使用される単語です。
代表的な用法は下記の2通りです。
①「存在する」という意味の他動詞または自動詞として使用される用法
②主語と補語をイコールの関係でつなぐ用法(英語のbe動詞とほぼ同じ)
例)
Xim fromsta maa tastaxia.
私の花は美しい。

動詞の否定形

動詞の直前にseiを置きます。
例)Xi sei elen.(elen:行く【動詞】)
私は行かない。

動詞の命令形

命令の助動詞Las+動詞の原形。
Lasは助動詞ですが後置せず、必ず文頭に置きます。
丁寧形はLaspalです。

例)
Las lin.(lin:来る【動詞】)
来て。(=命令)
Laspal lin.
来てください。(=依頼)

Las/Laspalを省略して動詞の原形のみで命令を表すこともできます。
略式表現であり、目上の相手に使うのは失礼にあたります。家族や親しい友人等、気の置けない間柄ではしばしば使用されます。

否定命令文(禁止)は、Las/Laspal+sei(否定の語)+動詞の原形で表します。

過去形

動詞の語尾に-naをつけて表します。
語尾がもともとnで終わっている場合は、-aのみをつけます。
例)
maa(存在する)→maana(存在した)
elen(行く)→elena(行った)

否定形にする場合は、動詞は過去形のまま、直前にseiを置きます。
例)Xi sei elena.
私は行かなかった。

未来形

現在形と同形をとるため、未来形を表す活用は存在しません。

形容詞

形容詞は性数一致させません。活用もありません。

文章中の位置

前述の通り、修飾する名詞の直後に置きます。
例)
fromsta(花) ranurisila(赤い)→赤い花
erate(命) d’arientos(大切な)→大切な命

発音補助

先頭が母音で始まる形容詞(↑のarientosなど)の中には、先頭にd’がついたものがあります。
d’arientos(ダリウントス)のように、dの音をつけて発音します。
これは、古典ラインアマド語において発音を補助するために必要だった要素です。
現代のラインアマド語においては、特に意味をなしているわけではありません。
名残として一部の形容詞に残っているだけです。

名詞

名詞同士の連結

ラインアマド語には、名詞同士をつなげて異なる意味の名詞にした単語が存在します。
例)fromasta(花)+bia(場所)=fromastabia(庭)
名詞同士は↑の例のように接続します。
形容詞/動詞など、名詞以外の品詞+名詞で新しい名詞を作り出す場合は、ハイフン(-)が必要です。次の項目で解説します。

ハイフン連結

etu(動詞:参照する)+ -lire(名詞:本)=図鑑(参照するための本)
juske(動詞:眠る)+ -liroi(名詞:部屋)=寝室(眠るための部屋)
ハイフン連結の場合は、必ず名詞のほうを後ろに持ってきます(形容詞等であっても後置しない)。

ハイフン連結の使い方について

下記のような特定の名詞に連結させる場合以外は、ハイフン連結での新しい名詞作成はできません。

名詞以外とハイフン連結可能な詞の一例:
kiva(こと), lire(本), liroi(部屋), bia(場所),keot(町)、loot(村)、xiret(国),miina(家)、zenbia(地方)、sanzenbia(大陸)、tastavis(費用/コスト) 等。

例)paanurisila-kiva
paanurisila(形容詞:おもしろい)

動名詞

前述したハイフンと、litzという語句を用いて動名詞(~すること)を作ります。
例)toome-litz(探すこと)

これは動詞の目的語にしたり、前置詞の後ろに置いたりするためのものです。
例)den(~のために=for)+toome-litz
探すために(探すことのために)

動名詞には、後述のme/metをつけません。

接続詞

接続詞+主語+動詞~で節を作ります。
よく使われる接続詞はe(~と/and)、vimy(~なので/because)、van(~だけれども/although)等です。

前置詞

前置詞+名詞orハイフン連結した語句で、句を形成します。

副詞

demin(あわてて)、emme(すごく)等、名詞以外を修飾する品詞です。
副詞に関しては細かい規則はないため、意味さえ伝わるのであれば、好きな場所に置いて構いません。

感嘆詞(=間投詞)

感動や興奮、強調を示すことばです。

例)
Lat,lat→喜びを表すことば。女性がよく使います。
taata→自分が話した内容を強調したいとき。ふつうは文章の最後で使います。

感動したときに発する音のようなものであり、通常は訳出されません。

冠詞のようなもの

ラインアマド語では、(抽象名詞を除く)名詞の前に、me(単数)またはmet(複数)をつけます。
これらの単語の役割は、後ろの名詞の単複を示すことです。

例)
me fromsta→一本の花
met fromsta→複数の花

数詞が続く場合も消えません。
例)
me saden(1つ)fromsta→1本の花
met faden(2つ)fromsta→2本の花

所有格の指示代名詞がある場合は消えます。この場合、文脈を考えなければ数は判断できません。
例)Xim fromasta(私の花=数は不明)

「天気」、「愛」、「春」など、数えられない抽象的な名詞には通常meもmetもつきません。

疑問文

主語と動詞の間にnures(ヌールス)という単語を置き、文末に?を付けます。
例)Na nures elen?
あなたは行きますか。

語順を変える必要はありません。

受動態

主語と動詞の間にtozi(トツィ)という単語を置きます。
例)Liar tozi teina.
それは見られた(=それを見た)。